地上／衛星共用携帯電話システムの干渉評価に向けた屋外／屋内伝搬基礎実験－携帯電話端末と疑似衛星局を用いた評価

摘要

地上／衛星共用携帯電話システム（STICS）は、地上回線と衛星回線で同一周波数帯を共用する移動通信システムである。STICSの地上システム·衛星システム間の周波数共用条件を算定する一環として、地上回線を使用する携帯端末から衛星回線への干渉量の評価を行っている。その際、干渉量の評価をより精度よく行うためには、屋外や屋内など携帯端末の通話場所の伝搬環境に依存した干渉レベルの変動を見積もる必要がある。そこで、上記の状況を模擬するIMT-2000携帯電話および疑似衛星局を用いた伝搬実験の実験系を構築し、情報通信研究機構小金井本部構内の屋外や屋内で基礎実験を行っている。本稿ではまず対象とするSTICSの干渉経路を説明するとともに構築した実験系と実験場所について記述する。次いで、取得した疑似衛星局受信電力や送信電力制御（TPC）下の端末送信電力について分析する。また、屋外のLOS／NLOS環境下の伝搬路損失について分析するとともに、屋内測定において窓からの距離による疑似衛星局での受信電力の変動について分析している。