放射性廃棄物地層処分のセーラティケース

摘要

放射性廃棄物の地層処分は，人工バリアと天然の地層を適切に組み合わせることによって極めて長期間にわたる安全性の確保を意図した，これまで人類が経験したことのない技術である．地層処分計画はステークホルダーの明確な意思決定に基づいて段階的に計画を進めていくことが必要であり，このためには数十年以上に及ぶ長い事業期間にわたって，恒常的にセーフティケースの信頼性を高めていくことが重要である．セーフティケースは地層処分計画の各段階でその時点の科学技術的知識を統合して作成される．その信頼性を支えるのは知識である．このため，処分事業に必要な数十年以上といった時間スケールを藁才ったり，研究開発によって技術的な知識の蓄積を継続していく必要がある．日本原子力研究開発機構では地層処分技術の継続的かつ体系的な開発を行っていくため，関連する多量の知識をセーフティケース概念に基づいて構造化し，地層処分計画の進展に応じて動的に管理するための方法論の開発を進めている．知識管理を行うことによて，意思決定に関わる全てのステークホルダーの要求に応え，共通に利用できる資源として地層処分技術の知識基盤を用意するなかで，オーバーパックをはじめとする人工バリア材料についても，今後セーフティケースの信頼性を飛躍的に向上させるような革新的な技術が生まれることも期待したい．