高レベル放射性廃棄物の地層処分における地下施設からの湧水量評価のためのマルチスケールモデル化・解析技術の開発：（その２）水理地質構造のマルチスケールモデル化と数値解析技術の整備

摘要

地下施設の設置位置を選定するとともに，施設の建設に伴う湧水量を適切に評価するためには，地下施設設置深度を通過する地下水の涵養域から流出域を包含する広域スケールモデル，および地下施設の建設・操業の段階的な展開を詳細な解像度でモデル化するための処分場スケールモデルといった解像度の異なる複数の水理地質構造モデルを構築する必要がある．加えて，これらの水理地質構造モデルを用いた非定常状態における地下水流動解析においては，モデル間の水理学的連続性を確保する必要がある．このようなことを考慮した数値解析技術としてTMR(Telescopic Mesh Refinement)アプローチ1)の適用を試みた．また，関連講演2)で報告した湧水量抑制対策の効果の評価に適用するために，約50 年に及ぶ地下施設の建設・操業段階における地下施設全体からの湧水量の継時変化を建設・操業計画を反映して評価するための現実的かつ合理的な湧水量解析技術としてシンプルドレーン3)の適用も試みた．本稿では，これらのモデル構築の方法論や解析手法について記す．