環境化学物質によるタンパク質の翻訳後修飾：毒性発現機構の角牢明に向けた修飾タンパク質の検出とその構造解析

摘要

タンパク質の機能は,プロテアーゼの切断による活性化,糖鎖やリン酸基などの付加による活性·相互作用調節,アシル化による膜への局在など,種々の修飾により巧妙な調節を受けている。 真核生物においては,遺伝子配列をもとに合成された蛋白質がそのままの状態で機能を発揮することは稀であり,リボソーム上での翻訳後に多種多様な修飾を受ける。 そのため,生体はタンパク質翻訳後修飾を利用することにより生命機能を維持しているといえる。 一方で,環境中に存在する多様な親電子性化学物質によるタンパク質の修飾は,生命機能の維持にとって必要とされない調節不能な化学修飾であり,多くの場合生体にとってストレスとして働き,健康や寿命に大きな影響を与えることが明らかとなってきている。