ダイゼィンと骨格筋の性差

摘要

身体の組成や大きさは男女間で異なる.男性ホルモ ンゃ女性ホルモンのような性ホルモンは生殖系の組織 だけでなく，骨格筋や脂肪，骨のような周辺組織にお いても性差を示す要因と考えられている.これらのうちでも骨格筋は人体で最大量の組織であり，体重の30-40%を占める.骨格筋は姿勢の保持や筋の収縮（運 動）以外に，ィンスリンの標的組織として最もグルコ一 スを利用する.したがって加齢や疾病によって骨格筋 量が減ると運動機能が低下し.最終的には寝たきりと なり，また肥満症や糖尿病のような代謝疾患を発症す ることになる.女性ホルモンのエストロゲン（17/9-ェ ストラジオール，E2)が結合した2つの特異的な受容 体（エストロゲン受容体，ERaとER betaは標的遺伝子 に存在するエストロゲン応答配列（ERE)に結合し，標 的遺伝子の発現を転写レベルで調節する.ERaと ERタは同じEREに競合的に結合.あるいは異なる EREに特異的に結合するので，これらの受容体は遺伝 子発現調節において重複して機能しない.骨格筋で ERaとは発現している力5,それらの役割は不明 であり，またE2の投与が若齢（7-8週齢）のラット やマウスにおいて筋量を低下させることも報告されて いる力5.その詳細な分子機構も不明である.本発表で は骨格筋におけるE2とこれらの受容体の役割.さら にエストロゲン様作用を持つ食品成分による骨格筋量 の調節機構について概説したい.