ラグビー練習直後のたんぱく質と炭水化物の同時摂取が 与える身体組成と身体諸機能への影響

摘要

近年，骨格筋増量を目的としたトレ一ニング時に必要 な栄養素とその摂取量について，なかでも運動終了直後 の食事摂取タイミングの重要性に関する研究が数多く行 われている。その背景には高強度のレジスタンストレー ニングによる，筋たんぱく合成の増大が運動終了直後から24-48時間持続するため，この時間帯のたんぱく質 摂取が骨格筋の増量に重要な意味があるからである。し かも，筋たんぱく合成の増大は，運動終了後，時間経過 と共に低下するため，運動終了後の早急なたんぱく質摂 取が必要になる。さらに，運動終了直後は筋たんぱく分 解も同時に行われているため，たんぱく質の摂取だけで はなく，炭水化物の摂取も重要であると考えられてい る。 Millerらによると，運動終了直後にたんぱく質と炭水化物を同時摂取させたところ，それぞれの単独 摂取よりィンスリン分泌に相乗効果を与え，筋たんぱく 合成量が増大するとのことであった。また，たんぱく質 と炭水化物を同時に摂取することで，コルチゾール分泌 の抑制や運動により枯渴した筋グリコーゲン再供給 に相乗効果をもたらすことから，たんぱく質または炭水 化物の単独摂取よりたんぱく質と炭水化物の同時摂取の 方が筋たんぱく質分解抑制に効果的であるとのことで あった。つまり，運動終了直後のたんぱく質と炭水化 物の同時摂取は，それぞれ単独摂取と比較し，筋たんぱ く分解を抑制し，筋たんぱく合成の増大の両方に相乗効 果を与えており，骨格筋へのたんぱく質蓄積に有効であ ることが明らかにされている。