ビン力アルカロイドビンクリスチン，ビンブラスチン， ビノレルビン

摘要

ビン力アル力ロイド（vinca alkaloid)とは，キヨゥチクトゥ科のツルニチニチソゥ（Vinca rosea, Catharanthus roseus)から抽出される植物アル力ロイドである"。アル力ロイドとは窒素を含む有機化合物の 総称であり，主に植物から発見され真菌や両生類からも単離されている2-5'。これらの多くが塩基性を示し，ビ ンカアル力ロイドは癌治療におけるもっとも古い植物アル力ロイド群に分類され，1950年代にビンクリスチ ン（vincristine)とビンプラスチン（vinblastine)が単離、同定され，造血器腫瘍や小児腫瘍に用いられてきた。 その後の第二世代のビノレルビン（vinorelbine),ビンデシン（vindesine)は半合成化合物として開発され，多 くの固形腫瘍の治療にも応用されるようになった。これらの構造式は類似している力;'，抗腫瘍活性，有害事象 は異なるため注意が必要である。獣医領域においても，ビンクリスチンおよびビンブラスチンは主にリンパ 腫，肥満細胞腫の化学療法薬として一次診療現場においても多用され.馴染みの多い先生方も多いと思われ る。各治療プロトコルについては以前本誌にも多数取り上げられており，本稿ではそれぞれの化学療法薬の取 り扱いや有害事象について解説し，ビノレルビンに関しては.各腫瘍の治療反応も含めて紹介する（表1)。