臨床推論ってなに?

摘要

2015年に始まった看護師の特定行為研修の共通科目に「臨床推論」が組み込まれたり、認定看護師の役割について、実践の内容に臨床推論力が明記されたりするなど、看護実践において高い臨床推論力が求められるようになってきました。臨床推論(clinical reasoning)とは、医師が「診断」を目的として、患者の疾病をあきらかにし、それを解決しようとする際の思考過程やその内容を意味しています。しかし、医師のように「診断」はしなくとも、看護師も患者の訴えや所見などから患者の状態を推理する思考過程、つまり推論を展開しています。たとえば、透析中の患者が「気分が悪い、冷や汗が出る」と訴えた際、血圧や脈の変動、顔色、除水計画との関連性、血糖値などの情報を収集して解釈し、患者のケアに関する臨床的な判断を行っています。つまり、看護における臨床推論とは、患者に接しながら推理することで健康問題をあきらかにし、その問題を解決しようとする際の思考過程やその内容だといえます。救急患者を含む外来患者の緊急度の判断(トリアージ)や入院患者の状態の変化を判断する場面で、診断的側面を活用した看護師の臨床推論が発揮されるといわれています。