エネルギー弁別型超高速フォトンカウンティング検出器による疑似単色X線イメージングと高精度物質同定

摘要

フォトンカウンティング（光子計数）とは光を粒子として扱い、一つ一つ数えることで、光量を測定する技術である。特徴として超高感度であること、低ノイズであること、計測回路を工夫することで光子一つ一つのエネルギー情報が得られることなどが挙げられる。その測定原理から、微弱光測定に最も適しているが、一方で、低ノイズやエネルギー情報の活用が可能な点を、光量の多い用途へ応用したいという要求がある。近年、半導体技術の進展により、高速に信号処理が可能となってきたことから、光量の多い用途へのフォトンカウンティングの応用が検討されるようになってきている。X線の光領域では、極めて光量の多い医療用CT装置への活用も検討されており、やはりエネルギー情報の有効利用が大きな訴求ポイントとなっている。透過X線のエネルギー情報の工業応用としては、空港手荷物検査などが挙げられる。本稿では、X線のエネルギー情報を活用するためのエネルギー弁別型フォトンカウンティング検出器（ERPCD（Energy-Resolved Photon Counting Detector））と、それを用いた疑似単色X線イメージングおよび高精度物質同定技術を紹介する。