UHF帯RFIDにおける複数RFタグの効率的なエミュレーションアルゴリズム

摘要

UHF帯RFIDにおけるリーダ／ライタの読み取り速度の性能評価は基本的に複数のRFタグを読み取ることで行われる．この場合，複数のRFタグを並べたり，電波伝搬環境について補正するなど，手間がかかるだけでなく，客観的な評価軸を定めることが難しいという問題がある．このため著者らは，複数RFタグの挙動をエミュレーションする装置を提案し，開発を行っている．本稿では，1つの装置で複数のRFタグのエミュレーションを行う際の効率的なアルゴリズムについて数値シミュレーションおよび実装によって性能評価した結果について報告する．本研究では複数RFタグのエミュレーション精度を多少犠牲にするが計算負荷は少ないアルゴリズムと，複数RFタグの応答と実質的に同一な応答をするが計算負荷が相対的に多いアルゴリズムの2つを考案し，8bit MPUを有する電池付きパッシブタグ(BAP)に実装して，それぞれエミュレーションできる最大のRFタグ数を実験によって求めた．その結果，計算方法を最適化することで，計算負荷が少ないアルゴリズムでは36個，エミュレーション精度が高いアルゴリズムでは，6個のRFタグを1台のBAPでエミュレーションできた．