機械設計の楽しい人生: 第3回 世界最小の小型ターボ圧縮機開発の切っ掛け

摘要

前回は日本の市場要求に合わせた技術開発への歴史を紹介したが、今回は自力開発の開始について説明する。当方ターボ圧縮機の設計の課長になる前は、米国JOY社の技術習得と、ユーザーの需要への対応が主な仕事で、内容は主に改良や改善や周辺機器の開発であった。課長になった時、隣の部門（ドライスクリュウ）の原価表を偶然見る機会があり、200～255kWクラスのドライスクリュウの原価（製造コスト）が自分の担当の汎用ターボより高いことを知って驚いた。汎用ターボの方が販売価額が高いので、当然製造原価（コスト）も上だと思っていた。200kWより下の小型ターボはコストが高いゆえ、その分野への進出は無理と思っていたのが、それが誤解であることを知ったのだ。そこで、世界の市場には存在しない150kWターボの開発を構想し始めた。