誘導型文字提示を用いた学習（書字）障がい児の漢字学習と記憶への効果の評価

摘要

学習に障がいのあるこどもは文字の読み書きに困難を抱えている．本報告では，学習が困難な児童の漢字の書字を支援することを目指し，視覚障がい者に図や文字を伝えるために開発した触覚／力覚誘導提示システムを応用し，ロボットアームが指を機械的に牽引することで文字を書き順で提示する誘導型文字提示方式が学習障がい児の漢字の習得に効果があるかを評価した．実験では，学習ドリルを用い視覚的に見て書く従来の学習方法と書き順で指を誘導する誘導型文字提示による学習方法のそれぞれについて，既学習·未学習の漢字を与えた場合の再生課題を実施し，1，2，4，8週後の長期の記憶定着を比較調査した．その結果，再生された漢字の字体や書き順において，未学習の文字の場合に誘導型文字提示の方が正答率の高くなる傾向が得られた．アンケートによる主観評価や内観では，触覚／力覚誘導提示システムを利用することで漢字が覚えやすいことに加え，学習の意欲が高まることが示された．