理科教育崩壊 -小学校における天文教育の現状と課題-

摘要

2004年9月20日，日本天文学会秋季年会記者会見（盛岡市）にて，理科の好き嫌いや天文知識について全国7都道府県の小学生対象に行ったアンケートの調査結果を発表した．会見では，小学4～6年生の約4割カギ「太陽は地球の周りを回っている」と考えていることや，月の満ち欠けの理由を理解していない児童が半数以上であること，家た，日没の方位が西であることの理解が6～7割程度であることなど，基本的な天文·宇宙に関する理解が不足していることを示す調査データを公表した．　 この発表に対してのマスコミや世間の反応はやや過剰とも思えるもので，－学会発表に対して文部科学大臣や事務次官まで力てコメントを発表するという異例な事態となった．まるで，何かのツボを押してしまったかのように，普段は学校教育に関心をもっていない人々までがこの間題を論じあっている．しかし，百人集まれば百人皆教育評論家，その論点は多岐にわたりかつ複合的で，ともすると，現実を直視しない思い込みと思い付きのみの実りない議論に終始しかねない．本稿では新聞報道では伝え切れていない筆者らの調査の動楓　結果，考察，および発表後の後日談について述べる．