脱溶媒試料導入-誘導結合プラズマ分析法による感度向上メカニズムの検証と鉄鋼分析への応用

摘要

近年，例えば自動車鋼板の軽量化ニーズに伴い，成形性に優れた高強度鋼板の開発ニーズが非常に高まっている。このニーズに対応するために，鉄鋼各社では，鋼の組織や析出物を制御する技術を積極的に利用して，新規鋼材の設計·開発を行なっている。特に鋼中に添加する微量元素（マイクロアロイ）は，析出物や固溶した状態の元素の存在により，鋼の機械的特性に大きく影響を及ぼすことが知られているため，制御すべき非常に重要な因子の一つである。鋼中のマイクロアロイの成分情報を得る手法として，微量成分分析法である誘導結合プラズマ発光分光分析法（ICP－AES）ト原子吸光分析法（AAS）等が広く利用されているが，装置の定量下限と同等もしくはそれ以下の元素濃度が必要とされるまでマイクロアロイによる材料制御技術が進歩してきた。