FFP-LR240を用いたクリオプレシピテート作製プロトコール

摘要

外傷に伴う大量出血では，組織損傷，血管内皮傷害，炎症による凝固障害?線溶亢進等により止血困難となりや すく，フイブリノゲンが早期に低下することが報告されている.産科領域の弛緩出血，常位胎盤早期剥離，羊水塞栓症でも，急速に播種性血管内凝固症候群（disseminated intravascular coagulation ： DIC)を発症し早期から フイブリノゲンが低下しやすい.また，複雑な心臓血管外科手術では，輸液量の増加や長時間の体外循環に起因す る希釈性凝固障害に陥りやすい.フイブリノゲンは凝血塊形成（clot firmness)のための重要な凝固因子である が，大量出血時には凝固因子の中でフイブリノゲン値が，しばしば最初に臨床的に問題となるレベルまで減少する. この場合，凝固系が活性化されトロンビン産生が起こっても，凝固の最終段階となるフイブリン形成が十分に起こ らず止血に至らない可能性がある.従って，高濃度フイブリノゲン製剤投与による急速なフイブリノゲン値の改善 カ^大量出血症例における早期止血に対して有効となる可能性がある大量出血に対する高濃度フイブリノゲン製 剤投与の有用性については，未だ高いレベルでのェビデンスは得られていないものの，今回，日本輸血'細胞治療 学会など関連学会の支援を受け，国立研究開発法人日本医療研究開発機構（AMED) 「大量出血症例に対する血液 製剤の適正な使用のガイドライン作成に関する研究」研究班において，「大量出血例に対する血液製剤の適正な使用 のガイドライン」が策定され，大量出血に対する高濃度フイブリノゲン製剤の使用について，疾患別にェビデンス に基づいた推奨を提示している.