アレルギ一性気管支肺ァスペルギルス症に続発した肺膿瘍が穿破し膿胸気管支瘻を呈した1例

摘要

症例は25歳男性.発熱，胸痛を主訴に受診し，胸部レントゲン上，右上肺野に液面像を伴う塊状陰影を認めた.反復性の肺炎の既往，末梢血好酸球増多，ァスペルギルス沈降抗体陽性，総IgEおよびァスペルギルス特異的IgE高値，Aspergillus fumigatusの検出などからァレルギ一性気管支肺ァスペルギルス症(ABPA)と診断し，さらにCRPの著明な上昇および塊状影から，肺膿瘍を合併したと考えた.抗菌薬に加えて抗真菌薬の投与を行ったが，改善に乏しく，経過中に突然の胸痛を訴えた.気胸と胸水貯留が出現しており，肺膿瘍が穿破し，膿胸気管支瘻を呈したと考えられた.胸水から嫌気性菌および糸状菌が検出され，胸腔ドレナージ，抗菌薬，抗真菌薬の投与を継続したが奏功せず，リポソ一マルアンフォテリシンB 吸入を併用したところ軽快した.ABPAに肺膿瘍や膿胸気管支瘻を合併した報告は少なく，治療に難渋したため，文献的考察を加えて報告した.