金抜辰:地理カリキュラムの国際比較研究—地理的探究に基づく学習の視点から—

摘要

探究型授業を行うことが多 く の研究者や実践者によって叫ばれている.また,PISA の影響から授業における言語活動の充実がうたわれ,社会科や地歴科には「体験の言語化」と「なぜと問う探究活動」の重視が要求されてきた.次期学習指導要領改訂に向けた「育成すべき資質·能力を踏まえた教育目標?内容と評価の在り方に関する検討会」の論点整理(文部科学省2014)でも,「学習を通じて『何ができるようになったか』よりも,『知識として何を知ったか』が重視されがちとなり,また,各教科等を横断する汎用的な能力の育成を意識した取組も不十分」と指摘されるなど,知識の習得だけではなく,知識の習得と組みあわせた探究のプロセスが能力育成のポイントとして重視されてきている.このように初等?中等教育現場では探究型の授業が目指されているにもかかわらず,その発展に関する歴史的整理や意義についての整理はこれまで手薄だったといわざるを得ない.