鶏の卵殻色に関する研究（12) 白色LED光線の24時間連続照射が褐色卵の卵殻色に及ぼす影響

摘要

発光ダイオード（Light-emitting diode,以下，LEDと略記）の原理は，2つの半導体を組み 合わせ，そこに双方から電気を流すと，電気エネルギー同士がぶっかり合って余剰のェネル ギ一が生まれ，それが光エネルギーへと変換されることにより発光すると言うものである8)。 このLED発光技術は，次世代照明として期待されており，近年では白色LED電球等の価格が 下がり，従来の白熱電球や蛍光灯よりも省エネルギーになることからLED照明が急速に普及 してきている19)。 LED照明の長所は，消費電力が少なく長寿命であること，防水構造が容易で あることや，熱や紫外線の発生が少ないことなどが挙げられる。一方，LED照明の短所は，従 来の白熱電球や蛍光灯に比べると，まだ高価であることや，全方向への均一な照射が難しいこ となどが挙げられる。しかしながら，LED照明は，照明本来の役割である演色性は無論のこと， 短所を補って余りある長所があることから，照明器具だけでなく道路交通表示板や信号灯など, さまざまな分野で幅広く採用されるようになっている19)。それは，ひとつには，わが国の経済 産業省の指針として，2020年までにLED照明をフローで100%普及させ，2030年までにはス トツクとしてLED照明の普及率を100%にすると言う目標を掲げているからである4' 5)。養鶏産業においても，同様にLED照明の導入が進hでいる。とくに，無窓鶏舎では，明かり を人工照明にのみ依存しているため，今後は順次LED照明へと切り替わつていくものと考え られる11 7'14)養鶏産業における応用研究は，無窓鶏舎における従来の白熱電球から白色LED 電球への変更にもとづくものであり，LED照明が産卵鶏やブロイラーの生産性に及ぼす影響に ついて調べた研究が多い2' 3' 6' 9-16)したがって，LED光源と褐色卵の卵殻色との関係につい て言及している報告は，意外に少ない。