IgA腎症の進行と遺伝子多型

摘要

Immunoglobulin A(IgA)腎症は， IgA分子のメサンギゥム領域への 沈着とメサンギゥム細胞の増殖を 特徵とする，世界でもっとも罹患 率の高い慢性糸球体腎炎であり， 非糖尿病性慢性腎疾患(chronic kidney disease ： CKD)の代表的な 疾患である.近年IgA分子のヒン ジ部の糖鎖修飾の異常がIgA腎 症の発症に深く関与している事実 が明らかにされつつあるが，それ 以外のさまざまな免疫学的異常の 寄与も明らかであり，その"発症" のメカニズムはいぜh不明である といわざるをえない.さらに，IgA 腎症の10年腎生存率は10?20% 程度であり，非常に緩徐に進行す る疾患，換言すれば，一部の症例 において進行が観察される疾患で ある.