動脈硬化の危険因子：喫煙

摘要

喫煙は外因性に強力な活性酸素?フリーラジカルを負荷し，酸化ストレスを増大させ，血管内皮機能障害や 血管平滑筋細胞の活性化，血管収縮や血管の炎症を生じ，動脈硬化性血管病変を引き起こす.喫煙は冠動脈疾 患および脳血管疾患の危険因子であることが，海外だけでなくわが国の複数の大規模コホー卜硏究において も明らかにされている.また，末梢動脈疾患の危険因子としてもよく知られる.さらに喫煙は糖尿病発症，HDLコレステロ一 ル低下，メタボリックシンドロー ム発症の危険因子であり，喫煙にこれらが重なると動脈硬化が進行する.受動喫煙も冠動脈疾患?脳血管障害の危険因子である.動脈硬化性疾患の予防?治療のため には自ら禁煙するだけでなく，受動喫煙を避けることも重要である.健診や外来診療において喫煙者にァプ ローチを行い，適切な禁煙支援や，薬剤を用いた禁煙治療も考慮することが重要である.