家族性高コレステロール血症：LDL受容体

摘要

コレステロールと動脈硬化の関係が論じられて久しいが，Mullerらにより，1930年代には高コレステロ一 ル血症と腱黄色腫，冠動脈疾患(coronary heart disease ： CHD)の関係が指摘されていた.しかし，東北大学 の山川章太郎が高コレステロール(以下，C)血症と黄色腫と心臓疾患を合併した症例，現代の医学ではホモ接 合体性家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia ： FH)を発表したのは1922年であった. FHの成因解明に挑戦したのはGoldstein and Brownである.1970年ごろからホモFH患者の成因に関する 研究を開始し，わずか10年余で，めざましい研究成果をあげ，1985年ノーベル医学生理学賞を受賞した. Goldstein and BrownによりLDL受容体（LDL-R)研究が完成したと思われるので1)，本稿では簡潔に扱い，おもにFHの成因，診断と治療におけるLDL-Rの意義について解説する.