自殺予防に適切な診療報酬体系とは外来精神科医療とうつ?自殺対策にかかわる診療報酬体系をめぐって

摘要

わが国の医療においては，診療内容は保険診療報酬体系により規定されているのが現実である.したがつ て，自殺予防に医療的側面から寄与していくためには.患者の必要性に沿つた保険診療報酬体系を実現するこ とが重要と考える.自殺念慮を有する患者の治療においてはまず，患者の状況に応じた診察を提供できる体制 が重要である.このような患者の診察はときには相当な時間を要し，頻回の診察を要することも少なくない. さらに，他科医師との連携も重要となる.つぎに，単に生物医学的側面のみの関与では治療は成功しない.精 神障害の背景となつている，あるいは障害になつてしまつたがための二次的な心理的?社会的側面への関与が 不可欠である.したがって.家族や職場あるいは学校など関係者との連携，そして患者の心理的?社会的側面 への対応が十分できるような人Hの確保が必要である.このように患者の必要性を担保できる診療報酬体系 の構築が重要と考える.