小児新生児領域におけるDIC診断基準

摘要

血液の凝固線溶機能と凝固線溶制御機能は巧妙に制御されているが，新生児はアンチ卜ロンビンなどの凝固制御因子が生理的に低下しているため，凝固亢進を是正する力が弱く DIC発展しやすい.胎児仮死や新生児仮死，胎児循環から新生児循環への変化，感染に対する防御能の未熟性や出生後の侵襲的処置などがDIC の発症に密接にかかわつている.さらに，凝固因子の産生予備能も劣っているため，消費亢進によって凝固因子と血小板が著滅し，多彩な出血症状を呈しゃすい.わが国の新生児領域では血小板数とフイブリノゲンのほかに，D-dimerを重視した新生児DIC準と，プロ卜ロンビン時間を重視した早期新生兒期のDICなどの重度出血傾向の診断基準がそれぞれ提唱されている.新生児における凝固線溶系の特徴，および凝固学的検査の基準値が日齢により異なることなどを念頭におきDICの診断を行う必要がある.