創刊500号記念特別企画第2弾：歴史をふり返り定番化の理由を探る－OPアンプ4558物語

摘要

小誌は，国内で最初のトランジスタが誕生した年（1954年）のちょうど10年後（1964年）に創刊いたしました．当時すでに，真空管を使わないトランジスタだけで作られたカラー·テレビも発売されており，電子機器メーカ各社はモノリシックICの採用を視野に入れていた時期ではないかと思います．本稿では，そのような時代を背景にして生まれたモノリシックICのなかから，長年にわたりエンジニアの問で親しまれ，使われ続けているOPアンプ「NJM4558（新日本無線）」の歴史を紐解いてみます．NJM4558は，安心して手軽に使える定番中の定番と言ってよいでしょう．決して誤動作しない高い信頼性と安定した性能，容易な入手性，そして低価格が，超定番OPアンプであり続けることの条件です．これらの条件を満たしているNJM4558は，一朝一夕にして普及したわけではありませんでした．