歩行者場における動画像からの動線抽出法と動線流動評価

摘要

広い空間における歩行者のための通路のデザインについて，通りやすい，混雑しにくいなどの評価を行うには，その空間を通る歩行者の交通流を詳細に調査することが必要である．つまり，歩行者が広い空間を歩いて通る場合，各人がそれぞれにとって都合の良いルートを選択するため，単なる計数を行うだけでなく，それぞれの歩行者が通った経路を動線として抽出する必要がある．このため，道路交通の自動計測法をそのまま適用することができない．現在，このような歩行者場についての評価には，対象となる空間をビデオカメラで定点撮影し，その後，ビデオ映像を見ながら，人間が手作業で歩行者の通った経路をプロットしていくなど手間のかかる作業が要求される．このような背景から，本研究では，定点撮影された動画像から，歩行者の通った経路を動線として自動抽出する手法を提案している．また，提案動線抽出法では，歩行者場の評価を目的とした動線抽出を行うだけでなく，さらに動線密度や方向，速度についてもパラメータ算出するなど，歩行者場の定量的な評価方法についても検討した．