左手系導波管の新しい構成法

摘要

本論文は，左手系導波管を構成する二通りの手法について提案している．ひとつは，遮断領域にある方形導波管を2段に重ね，その共通の幅広面に周期的に設けたリッジ導波管状の導波路（結合孔）を介して両導波管を接続した構造となっている．この両導波管を奇対称（逆位相）に励振すれば，共通壁中央にある対称面が等価的に磁気壁となるためリッジ導波管部が終端開放直列スタブ（直列容量）として作用するにことになり，回路寸法を適当に設定することにより左手系導波路を構成することができる．もうひとつの構造は，折り返し導波管の中央にある導体板に中央対称面で二分された分割リッジ導波管の一方を設けた構造となっている．この場合も，折り返し導波管が擬似的なTE_(10)（TE_(10_-like）モードで励振されていれば，導体中央にある対称面が磁気壁となるため，終端開放直列スタブ（直列容量）が周期的に接続された折り返し遮断導波管構造となり左手系導波路を構成することができる．これらの左手系導波路は，集中定数回路素子や共振系を含まないので低損失特性を示すことが期待できる．加えて，回路形状がコンパクトで，構造が単純であることも応用面での利点となる．解析と設計は市販電磁界シミュレータ（HFSS）を用いて行った．