ディーゼル噴霧およびすす粒子のレーザー計測技術

摘要

直接噴射式ディーゼル機関のさらなる高効率·低エミッション化を図るうえで，燃料噴霧の挙動およびその後の燃焼過程を詳細に把握することは重要である．ディーゼル噴霧の燃焼は高速かつ非定常に進行する現象であるため，その諸過程の計測には高い時間·空間分解能を有し，場を乱さずあるがままの状態を測定できるレーザ計測が有効である．空間的な混合気濃度分布の計測法としてレーザ誘起蛍光法(Laser Induced Fluorescence: LIF)が挙げられる．さらに液体燃料噴霧における気液濃度分布の同時分離計測はエキサイプレックス蛍光法(Laser Induced Exciplex Fluorescence: LIEF)により可能となる．また，ディーゼル噴霧火炎内におけるすす計測にはレーザ誘起赤熱法(Laser Induced Incandescence: LII)がその瞬時断面情報を得るための有力な手段として多く用いられている．ここでは，著者らが行なった壁面衝突ディーゼル噴霧を対象にLIEF法を用いた例およびその定量化手法について述べる．また，LII法によるディーゼル噴霧火炎内のすす生成過程に関する測定として，特に時間分解LII法(Time-Resolved LII: TIRE-LII)をディーゼル噴霧火炎に適用した例を紹介する．