フッ素樹脂接着のための大気圧プラズマ複合表面処理－医療器具,生体適合材料,電子機器への応用に向けて

摘要

材料の表面を親水化し接着性の向上を図る，あるいは撥水膜の密着性を向上させ撥水性の向上を図る有力な手法として，大気圧下で高電圧が印加された一対の先鋭電極間に被処理材料を通過させることにより，その材料の表面を改質する「コロナ放電処理」や，電極間にアルゴンやヘリウムなどの電離しやすい希ガスを通過させ，発生するプラズマ（電離ガス）ジェットを対象物に作用させることにより表面を改質する「プラズマ処理」が知られている．本稿では，樹脂の接合における大気圧プラズマ表面処理に関して，通常の従来型プラズマ処理，及び筆者らが開発改良した大気圧プラズマグラフト重合処理（プラズマ複合処理またはプラズマハイブリッド処理の一例）の原理と具体的な手法を，実施例を含めて説明する．特に近年は，医療器具，生体適合材料への応用に向けたフッ素樹脂（テフロン）の接着性改良のための大気圧プラズマ複合表面処理を展開しており，それらへの適用を目指した基礎試験結果を報告する．