上期の酪農、乳業動静を撮り返り、下期の主要課題を展望する:酪農、乳業のコス卜上昇要因は今後にも影響を与える

摘要

乳業大手3社（(採明治、雪印メグミルク(侏、森永)の2013年 3月期中間決算や需給関係情報、統計値など各種の年度上半期情 勢が11月半ばまでに出そろった。本欄では、日刊酪農経済通信が11月半ばまでに得た情報を踏まえつつ、上期の酪農、乳業経済を 振り返り、TPP交渉問題を含め下期に向けた酪農、乳業の主要課 題を包括的に展望してみる。アベノミクスの国内経済への浸透で期待された牛乳、乳製品の 販売環境の好転だが、ヨーグルトの大ヒッ卜商品が増益に結び付 いた市乳卜ッブメーカーが注目されるものの、乳業界全体の上期 販売は引き続く原料高と低価格競争による停滞を脱し切れたとは 言い難い。酪農界では、1年ほどにわたって高騰により酪農家経済を圧迫 した配合飼料などが、北米で発生した記録的干ばつの影響を脱し、 10-12月期の供給価格にも穀物価格下落の効果が見え始めた。しかし円安は乳業の輸入原料資材コス卜、酪農の粗飼料購入コ ス卜などの上昇を招き、下期もその影響を引きずる見通しだ。一方、 「年内妥結Jを目指すTPP交渉は加速度を高め、予断を許さぬ局面 に入りつつある。また下期に入り化月から飲用乳価が引き上げられたことで、牛 乳類の下期販売への影響は引き続き警戒が必要だ。さらに来年度 からの消費税アップが決まり、店頭の小売価格、消費の動向は極 めて不透明な状況となっている。