へパリンカルシウム製剤の在宅自己皮下注射で周術期の全身へパリン化を安全に施行できた症例

摘要

要旨症例は51歳女性。子宮頸癌で広汎子宮全摘術後に深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の 合併があり，ヮルフアリンカリウムを内服していた。その後，左尿管結石による左腰背部 痛と水腎症を認め，手術療法の適応と考えられた。患者のアドヒアランスに大きな問題は なく，手術7日前より1日2回（1万単位/日）のへパリン在宅自己皮下注射を導入し，周 術期の全身へパリン化を行った。周術期は特に大きな合併症はなく結石も根治できた。へ パリン在宅自己皮下注射は患者の適応を厳密に行い，血小板減少や凝固系の異常などの合 併症の有無の確認がしっかり管理できる体制であれば，周術期の患者にも応用可能で，入 院期間も短縮でき医療経済的にも有用であると考えられる。