統合失調症の精神運動興奮に対する注射剤使用の意向調査

摘要

精神運動興奮を伴う統合失調症の患者の治療として，注射剤を選択する必要が生じることがある。 非定型抗精神病薬の速効型筋注製剤は，欧米では使用可能であるが，日本では未承認薬剤であり使用できない。 そのため，日本における注射剤の選択肢は定型抗精神病薬やベンゾジアゼピン系薬剤あるいはパルビタール系薬剤の筋肉内または静脈内投与に限られている。 そこで，精神運動興奮を伴う統合失調症に対する注射剤使用の実態と非定型抗精神病薬の速効型筋注製剤への期待に関するアンケート調査を実施した。 その結果，注射剤は軽度から中等度以上の精神運動興奮を呈する患者に対して使用されることが多いことが示された。 また，既存の注射剤に対しては，興奮や幻覚·妄想への作用に対する不満と，呼吸抑制などの重篤な副作用に対する安全性への懸念が認められた。 そして，それらを改善する非定型抗精神病薬として，速効型筋注製剤への期待が示された。