クアゼパムにより熟眠障害が改善し良好な日常生活復帰をした慢性期統合失調症の1例

摘要

症例は30歳，女性で統合失調症の患者である。 前医から症例を引き継ぎ，受け持ちとなった時点で日中の臥床傾向，倦怠感，意欲の低下，睡眠障害（熟眠障害）を認めた。 まずバイタル測定を試みたところ，低血圧が著明であったため，塩酸エテレフリン15mg/日を前医からの処方に追加することにより治療を開始した。 倦怠感がなくなり，徐々に日中の臥床傾向の改善を認めたが，熟眠障害と意欲の低下は残存していた。 そのため，ベゲタミンA1錠をクアゼパム30mg/日と塩酸クワルプロマジン50mg/日に変更したところ，10日目に熟眠障害の改善を認めた。 しかし新たに日中の傾眠を認めたため，塩酸クロルプロマジンを中止しクアゼパムのみを残したところ，日中の傾眠はなくなり，意欲の低下の改善も認められた。 クアゼパムは血中濃度半減期から長時間作用型に分類される睡眠薬であり，熟眠障害などの睡眠障害に対して効果的な薬剤である。