伝染性膿痂疹に対するセフゾン~R細粒小児用の有効性および安全性の検討－播州とびひ研究会－

摘要

小児の伝染性膿痂疹に対するセフゾン~R（Cefdinir，CFDN）細粒小児用の有効性および安全性の検討を目的として， 2004年5月から9月までの5カ月間に，兵庫県姫路市を中心とした播州地域の小児科開業医10施設において臨床研究を行った。 伝染性膿痂疹と診断され，CFDNの用法·用量に別して治療が開始された16歳末満の小児のうち，再受診により服薬後の評価が可能であった症例を施設毎に受診順に連続して20ないし40例を調査した。観み入れられた341例の中で再受診があった症例は220例であった。 有効性の評価は，日本化学療法学会の皮膚科領域抗菌薬臨床試験における効果判定基準に準拠して行った。 1．臨床効果1）再受診例220例中，実施要綱どおりの評価が可能であった189例を有効性解析対象とした。 2）CFDNの有効率は89.9％で，うち83.6％が著効例であった。3）菌消失率は99.4％であった。 4 ）MRSAが分離された58例に対する有効率は79.3％と感身性株分離例の93.8％に対して有意に低かったが，MRSA分離症例にも74.1％の著効例が含まれた．また，局所治療用に消毒薬やCFDNと相乗効果を示す抗菌薬の外用薬を併用することにより，MRSAにもより優れた効果が期待できると考えられた。 ?）副作用は，220例中下痢と湿疹が1例ずつみられたが，重篤なものはなく，服薬中止後回復した。2．分離菌の状況および抗菌薬感受性1 ）細菌検査用の検体が採取できた全症例341例で分離菌の頻度等を検討した。 2）306例（89.7％）からStaphylocoecus aureusが分離され，Streptococcus pyogenesが分離された例はSaureusと共に分離された例を加えても8例（2.3％）であった。 3）メチシリン耐性株（MRSA）100株（32.7％）を含むS．aureus306株は，経口セフェム系薬の中ではCFDNに対して最も優れた感受性を示した（MIC_(50):0.5mug/mL，MIC_(90):4mug/mL）。 これらはminocyclineには1株を除いて優れた感受性を示したが，azithromycinには約半数の株が耐性を示した。 以上，抗S．aureus活性に加え服用性にも優れたCFDNは，発売後10年以上を経た今日でもなお，小児の伝染性膿痂疹の治療に最適な抗菌薬の1つであると考えられた。