グリア細胞におけるAMPA型グルタミン酸受容体の機能

摘要

近年,中枢神経系のグリアには多種類の神経伝達物質の受容体が存在することがつぎつぎに報告されている.これらの受容体の活動は多くの場合グリア細胞内のCa~(2+)濃度を上昇させる.おそらく,グリア細胞はこれらの神経伝達物質受容体を介してニューロンの活動状態を検出し,その情報に対応して適切なシグナルをニューロン側にフィードバックすることにょりニュ-ロン機能を動的に制御するものと考えられる.小脳皮質のBergmannグリアの突起は無数の分技を出して平行線維と登上線維がPurkinje細胞の樹状突起上に形成するグルタミン酸性シナプスを完全に取り巻いている.このシナプスを包囲するダリア突起分横の膜上には高いCa~(2+)透過性をもつAMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)が豊富に存在する.著者らはBergmannダリアに発現するAMPA受容体のCa~(2+)義過性のもつ機能的意義を解析することによりニューロン·ダリア間の機能的連関の一端を明らかにしたので,それらの知見を紹介する.