筋ジストロフィー患者に伴う脊柱変形に対する治療の現状 手術的治療を中心に

摘要

筋ジストロフィー患者に伴う脊柱変形は,体幹の筋の萎縮をおもな原因とした体幹筋力の低下が原因であると考えられ,側彎症の分類のなかでは症候性側彎症と称されている.病状がまだ進行せず歩行が可能な時期には,側彎をはじめとした脊柱変形は存在しないか,たとえ存在してもその程度は軽い.しかし,病状が進行し,歩行不能となり,とくに車いすに乗る機会が多くなる10歳前後から脊柱変形は急速に進行することが多い.脊柱変形は回旋をも伴い,おもに,胸椎と腰椎の移行部を頂椎とした側彎変形が生じ,同時に後彎変形を呈することが多く,ますます進行性となる.