定位放射線照射(ライナック)

摘要

定位手術的照射専用装置の保有で最先端の脳腫瘍治療を謳える時代は終わった.観血的固定で定位手術的照射だけで治療するべき悪性脳腫瘍はきわめて少ない.もっとも多い転移性脳腫瘍に関しても,第3相試験での研究が進み,1個の場合は全脳照射十定位照射が全脳照射単独よりも生存期間が優れているが,2個以上では全脳照射と差がなかった.4個以下で定位照射単独は51%が1年以内に頭蓋内再発するが全脳照射十定位照射は18%に減らせ,生存中の神経学的機能にも生存率にも差がなかった.定位照射と全脳照射を可能とするのはライナックである.小型の肺癌や肝癌に対して健保採用となった体幹部定位照射を可能とするのは.ライナックの保有と放射線治療の品質管理を専らとするスタッフの雇用である.優れた最先端放射線治療施設といえば.最先端ライナックを保有し.放射線腫瘍専門医と治療認定技師と医学物理士が常勤する施設であることが,国民に知れ渡ってきた.