研究仮説と経験に基づくレニン阻害薬の使い方

摘要

現在臨床応用されている唯一の直接的レニン阻害薬であるアリスキレンは，アンジォテンシン受容体拮抗薬（ARB)と同等の降圧力を有する，血中半減期が40時間とレニン?アンジォテンシン系 阻害薬のなかでは最も長く，実際の作用時間も長い，組織や細胞への移行性が高い，強い腎血流 增加作用を有する，カルシウム拮抗薬，利尿薬，ARBとの併用により降圧効果が增強される，な どの特長を有する.血圧コン卜ロール不良例においては，降圧薬の倂用療法が必須と考えられる.したがって，このよ うな症例においてはアリスキレンは有用な薬剤であると者えられる.ただし，レニン·アンジォテン シン系の強力な阻害薬であるため，とくに腎障害を有する症例においては，慎重な投与および注意深 い観察が必要である.