心房中隔欠損症に伴う二次性肺動脈性肺高血圧症に対するsildenahlの効果高齢者心房中隔欠損症の1手術例

摘要

患者は76歳，女性．呼吸苦を主訴に当科入院した．現症では血圧92/62mmHg?，心雑音第2肋間胸骨左緑2/6度の収縮期雑音，ⅠⅠ音の固定性分裂（＋）あり，胸部単純X線写真では著明な心拡大，肺うっ血，肺動脈の拡大，心電図は完全右脚ブロック，心エコー検査では径29mmの心房中隔の欠損孔，右室拡大，推定肺動脈圧88．8mmHgより心房中隔欠損症に伴う肺高血圧症，心不全と診断した．心臓カテーテル検査では心房レベルでの左右シャント，血中酸素飽和度の上昇を認めた．肺動脈の拡張能をみる試験には純酸素，一酸化窒素（NO）吸入試験がある．また，sildenafilにもNOと同様の肺血管拡張作用を認めていることから，肺血管の拡張効果，有用性の比較検討のため酸素吸入（O_2）とsildenafil（Si）負荷試験を施行した．その結果，PVRはO_2後68．6％，Si後51．8％低下し，PVR/SVR ratioはO_2後66．6％，Si後55．5％低下した．sildenafilの内服は酸素吸入とほぼ同等に肺高血圧を低下させた．高齢者ASD，PH患者においても肺血管の拡張能の評価に用うることが示唆された．