将来のガソリンエンジン用高排温対応エキゾーストマニホールド鋳造材

摘要

エンジンを小型化すると，摩擦損失が低減され，燃費が向上する。 しかし，エンジンの小型化に伴う馬力の低下を補うためには，ターボチャージャやスーパーチャージャ等の過給機システムの搭載が不可欠となる。 このため，軽量コンパクトなタービンハウジングとエキゾーストマニホールド（以下エキマニと呼称）の鋳物化が進められる。 一方，新燃焼技術としては，リーンバーン，筒内直接噴射，可変圧縮比システム(VCR)および予混合圧縮着火(HCCI)といった新しい技術の実用化による燃費の改善が進められている。 これらの新燃焼技術は，基本的にストイキ燃焼(Stoichometric burning)であり，空気と燃料が理想的な濃度で混合し完全燃焼を行うため，シリンダヘッドのアウトレットポートからの排出ガス温度は1000℃を超える可能性がある。 そのため，高排温対応のエキマニが必要になる。このような状況において，新規にエキマニを開発する場合には，エキマニの適用条件に合致した材料を選択し，その材料特性を生かした最適形状設計を行うことが重要であるが，今回は主にエキマニ材を選択するにあたり，必要とされる材料特性に絞って紹介する。