晶析プロセスと機能性粒子設計

摘要

「晶析」とは，液体から目的の固体（主として，無機物·有機物）を分離するプロセスであり，表－1に示すように化学工業，食品工業，医薬品工業を始めさまざまな分野で数多く利用されている。 身近な例では，食塩（NaCl）や砂糖（主成分：C_(12)H_(22)O_(11)）の製造における精製，粒径分布制御が挙げられる。精製とは，不純物含有量の少ない高純度の結晶を得ることをいい，粒径分布制御とは，目的に応じて微小結晶，粗大結晶またはその混合物を得ることをいう。 溶解速度や固液分離の容易さが粒径分布に強く依存するため，結晶品質としての粒径分布制御は重要である。 医薬品工業において，晶析プロセスが注目されるようになったのは，特に有機物に起きる多形現象の解明と制御が重要課題だったためである。 晶析にはさまざまな種類があるが，最も広く利用され，また数多く研究が行なわれているのは，冷却晶析または蒸発晶析である。 その他として，反応晶析，非溶媒（貧溶媒）添加晶析などがある。