山梨県における絶滅危倶植物の保全および増殖技術の開発とその教材化（第2報）タカネビランジの受粉様式の解明およびタカネマンテマの組織培養による大量増殖系の確立

摘要

タカネビランジの受粉様式を確かめた。本種の1個の花の開花日数は7～8日間のものが多かった。本種は雌花と両性花が存在し，雌花は菅の時期から3本の花柱が観察でき柱頭もはっきり確認できた。両性花の雌、雄蕊の形態学的解析により，本種は雄性先熟の他殖性植物であることが分かった。タカネマンテマの組織培養による大量増殖系を確立した。培養部位は生長期の植物体の根元に多数派生する分枝腋芽の茎頂組織，または無菌播種で得た培養実生が適当であった。培地はMS基本培地（Murashige、Skoog，1962）にBA0.5mg／1～1.0mg／1添加の範囲でシュート発生が優れた。大量増殖のためのシュート塊誘導も同じ組成の培地が利用できることが分かった。根毛を多数有する細板の誘導には，2，4－D 0.5mg／l添加がきわめて有効であることが分かった。順化および屋外における栽培は容易だった。以上の実験結果を稔合することにより，タカネマンテマの組織培養による大量増殖系および栽培方法が確立できた。実験結果をもとに，科目「課題研究」、「植物バイオテクノロジー」の教材を作成した。