山梨県における絶滅危惧植物の保全および増殖技術の開発とその教材化（第3報）南アルブス産ツリガネニンジン属（Adenophora Fiscber）2種の組織培養による増殖法の検討

摘要

南アルプス産絶滅危惧種のヒメシヤジン（Adenophora nikoensis）およびホウオウシヤジン（A. takedbe Makino var. howozana）の2種について保全や増殖技術の確立を目的として，組織培養による大量増殖系の確立を検討した。ヒメシヤジンの外植体からのシュート発生は，MS処方を基本培地としてBA 0.5mg～1.0mg／1添加が有効だった。シュート塊の誘導には，BA0.5mg／1添加区が優れ，継代培養を繰り返すことで順調に増殖した。不定根誘導は，植物ホルモン無添加培地で容易にできた。順化、屋外栽培は容易だった。ホウオウシヤジンの外植体からのシュート発生およびシュート塊形成にはMS処方にBA 0.5mg／1添加区で優れた。不定板形成は植物ホルモン無添加培地で良好であった。本種は培養による増殖がヒメシヤジンより緩慢であった。本種の個体再生系は完成できたが，順化、屋外栽培は今後の課題である。なお，この研究の結果をもとに，科目「課題研究」への教材化を囲った。