農業土木技術者教育における倫理教育方法

摘要

近年における技術者の国際化や，最近の技術者倫理が問われる事件、事故の続出により，技術者の倫理教育の徹底が急がれている。その根底にあるものは，技術者に対する信頼の回復である。回復すべき信頼には，「技術者の能力に対する信頼」と「技術者の意図に対する信頼」の二つがある。 前者は，技術者が確かな技術力を持って仕事をしていることに対する信頼，後者は技術者が道徳的責任意識をもって仕事をしていることへの信頼である。 前者については，米国土木工学協会の倫理規約に「技術者は自分の能力のある領域のみで仕事をしなければならない」と，また技術士倫理要綱には「自己の専門外の業務あるいは確信のない業務にはたずさわらない」と明記されているように，技術者倫理に必要不可欠なものであるが，それにもまして後者の信頼を得ることは重要な事項である。