広域合併市町村における農政執行体制の構築手法:過疎債による非正規職員の活用に着目して

摘要

広域合併市町村における農政の執行体制の構築が大 きな課題となっている.その理由は第一に，我が国に おける農業政策の執行において，市町村の役割が増加 しつつあることである（註1).それまでの生産調整関 連業務や認定農業者関連業務，中山間直払制度，ほ場整備事業等のハード整備に加え，2012年度からは人、 農地プランが開始され，2014年度からは新規就農支援 施策の総合窓口にも位置づけられた（f±2).第二に， 行政改革の影響である.厳しい財政環境の中，ほとん どの市町村で職員数の削減が進められており,後述す るように特に農政部局への影響が大きい.さらに，合 併巿町村では，職員数の削減幅がより大きい.特に広 域な合併市においては，支所機能の縮小により，農山村地域が政策対象として相対的に希薄化しつつあると 指摘されており，農政の執行体制の弱体化が懸念される（註3).