緑地計画における欧米計画概念の導入とその今日的な展開方向

摘要

緑地、景観計画の分野において，我が国の農村計画に大きな影響を与えた西欧計画概念には，大別して2つの 流れがある。ひとつは，1960年代後半に，アメリカのマクハー グI. McHargが提唱したエコロジカルプランニング (ecological planning)の手法を源とするものである。マ クハーグは1967年に，北米におけるその後のランドス ケープ計画の方向を決定づけた「Design With NatureJ を著している。その手法の日本への適用を図ったケ一 ススタディ力5，建築文化30卷344号（1975)，同32卷 367号（1977)において特集として報告されている。後 述するドィッ流の景域計画の手法が，地理学や生態学の 知見をもとに決定論的に計画を導いていく過程であるの に対して，マクハーグが提唱するエコロジカルプランニ ングの手法は，地理学や生態学の知見を基礎としつつも， 当時，手法の確立が図られつつあった環境アセスメント の手続きの影響を受け，最終的な意志決定にステークホ ルダーも関与するという，可能論的プロセスを含む点を 特徴とする。建築文化誌における特集は，そうしたェコ ロジカルプランニングの方法と実践を，主に関西地方に おける複数の適用例を通じて明らかにしている。