クラスター分析による便益移転性の検討ー水環境整備事業のアメニティ便益を事例としてー

摘要

農業関連公共事業が発揮する，非生産性向上的あるいは地域生活環境改善的な効果，すなわちアメニティ便益の移転性の具体的な検討は寺脇（2000）が濫腸である。 寺脇（2000）は，アメニティに対する支払意志額を個人属性や社会属性で説明しようとする，便益関数の同一性を検定する尤度比検定を行い，移転可能性を検討した。 便益移転の可能性が確認されることは，寺脇も既に述べているように，緊縮財政のもとで強く求められている公共事業の事前，事後評価における経費削減に寄与することが多いに期待されているが，その移転可能性が制限なく一般に成立することは便益の多面性や地域の多棟性などから難しいであろうと考えられる。 しかし，その鵬方で実務的には，便益移転は評価過程における費用削減といった利点に重きが置かれ，国際的に政策や事業評価の通常手順あるいはプロトコールの」部として，積極的に位置づけられようとしている。