畜舎における床の改善と检讨

摘要

近年，酪農の生産現場において乳牛を取り巻く飼養環境の整備に取り組み，生乳生産性や供用年数を改善した事例が報告されるようになってきた。また，乳牛行動学研究の進展により，カウタイムバジェット（乳牛の1日の行動時間配分）という概念を活用した牛群管理方法の確立が提唱されおり，カウコンフォト（乳牛の快適性）と併せて飼養環境を改善することの有効性が酪農従事者，関係者に広く認識され始めている。 カウタイムバジェットの概念では，乳牛の健康維持や高い生乳生産効率の達成を目的としているが，1日の乳牛行動のなかで要求度が最も多いのは「横臥時間」で，11時間（うち反袈と重複は6時間以上）程度を確保することが推奨されている。 また，横臥しながらの反舞行動は，乳腺内の血液量増加による産乳量の向上効果があるという海外報告などもある。収益性の高い酪農経営を追求するには飼養環境を整備し，乳牛の行動を適正にコントロールすることが，高い乾物摂取量を獲得させるうえで重要である。