椿、銘「常泉の舞」国風賞を導いた花と人の縁

摘要

神奈川県大和市にある常泉寺。創建は天正十六年（一五八八）と伝えられる由緒正しき同寺は「花のお寺」との愛称でも親しまれ、「かながわの花の名所百選」に指定されるほどの美しい景色を四季折々に楽しませてくれる。　平成21年2月に開催された第83回国風展において、常泉寺第24代住職である青蔭文雄氏所蔵の山椿が、椿としては初となる国風賞を受賞した。「花のお寺」で管理される椿に輝いた栄冠。何か不思議な緑を感じて、この度取材をお願いすることとなった。　私が寺を継いだのは22才の頃です。その当時、常泉寺は現在ほど大きくはなく、また特聾すべき特徴がある寺ではありませんでした。それ以前より、人々のお寺離れや檀家制度の崩壊が取りざたされており、危機感を覚えて人が集まる何かを作りたいと考えるようになりました。