都市や地域の国際競争力をどう評価するか

摘要

グローバル化の進展に伴い、国家や都市、地域の間での競争が激しくなっている。その期待されるメリットとして、資本や労働の流動性の円滑化が経済システムの効率化を促すことがよく挙げられるが、一方でグローバル化は富の局所的な集中やグローバル金融リスク等への脆弱性等といった新たな問題を露呈させた。このような情勢のもと、我が国では、人口減少と高齢化が今後急速に進んで生産年齢人口の減少に伴う総労働力の不足が深刻化する反面、都市部への人口流入はしばらく続くことから、人口分布の偏在化が顕著になることが確実とされている。それに加えて、巨大自然災害のリスクや社会インフラシステムの老朽化のような固有の問題への対応や、地球環境問題(温暖化•気候変動)やエネルギー問題のように全世界的に取り組むべき問題への対応の必要性に迫られている。国土交通行政の観点においても、包括的な将来ビジョンならびに空間計画の策定を行う必要がある。