ダブルパルスレーザーによるレーザー誘起ブレイクダウンによって形成されるプラズマの時間·空間特性

摘要

レーザー点火は，レーザー誘起ブレイクダウンによって形成される熱プラズマを利用した点火方式である.レーザー点火に関する研究は，1970年代から研究が進められており（など)，通常の火花点火ブラダと同等のサイズのレーザー点火ブラダが開発されるなど，実用化への期待も高い.レーザー点火の特 徴のーつとして，レンズの焦点位置により任意の点において点火可能であることが挙げられる.特に発電用などの比較的大きなボア径のエンジンなどにおいて，燃焼壁から離れた位置へ多点で点火することで，構造が複雑である従来の副室の代替点火源としても期待できる.しかし，焦点距離の長いレンズを用いて集光する場合，集光径は焦点距離に比例して大きくなる.そのため，レーザー誘起ブレイクダウンが生じるように焦点近傍におけるエネルギー密度を高くするためには，比較的高エネルギ一のパルスレーザーを必要とする.さらに，熱効率を高くするために超希薄予混合気へ点火する場合には，失活しないように十分な熱エネルギーをプラズマ·火炎核に付与する必要がある.このことから，1発のパルスレーザーで点火を成功させるためには，比較的高エネルギーのパルスレーザー光源が必要になる.しかし，レーザー点火を社会実装化する上で，高工ネル ギーのパルスレーザー光源は高コストになることが予想される.よって，比較的低エネルギーのパルスレーザーを用いて，十分な熱エネルギーを持つブラズマ·火炎核を形成することが，レーザー点火を社会実装化する上で重要である.